今日はこの話題です。



アメリカのトランプ大統領は、ツイッターに「北朝鮮との対話はうまくいっている。これまで、8ヶ月もの間、ミサイルの発射や核実験は行われていない。これにアジア全体が、非常に喜んでいる。フェイクニュースを発する民主党だけが文句を言っている。私でなければ、今ごろ北朝鮮と戦争をしていただろう」とツイッターに投稿しました。

これは、北朝鮮が非核化への動きを見せないことから懐疑的な見方が広がっているのを牽制しているとも見られていますけれども、わざわざこうしたコメントをしなければならない程、トランプ大統領にプレッシャーが掛かっているとも言えます。

しかも「私でなければ、今ごろ北朝鮮と戦争をしていただろう」と付け加えている意味は、アメリカの基準では戦争へのレッドゾーンを超えているということですね。

トランプ大統領は"私でなければ"といかにも自分だったから、戦争を回避できたのだといわんばかりの口振りですけれども、シリアにトマホークをぶち込んで見せた大統領です。なぜ、北朝鮮に対して対話が上手くいったのか、という理由あるいは、上手くいっている証拠を見せない限り、それを信じろといっても、中々難しいでしょうね。

もっとも、トランプ大統領曰く、8ヶ月間、ミサイルの発射や核実験は行われていないというのがその証拠ということなのですけれども、既にCIAなど諜報機関は、北朝鮮が非公開施設で核兵器用の燃料の生産を継続していることを明らかにしています。

ですから、トランプ大統領のいう「ミサイルの発射や核実験は行われていない」ことをもって対話は上手くいっている、と言い切るには、少々説得力に欠けると思いますね。

そんな中、アメリカの北朝鮮専門家ゴードン・チャン氏はテレビ番組で、「米朝首脳会談後も北朝鮮が核プログラムを放棄していないのには、さまざまな原因が考えられる……ボルトン国家安全保障担当補佐官が言ったように、北朝鮮が武器プログラムを放棄することに戦略的決定を下したなら、速やかに実行される……その場合はここ数週間の北朝鮮の動きを心配する必要はない」と述べました。

けれども、その一方で「もしそうでなければ、アメリカの政策に新しい変化が要求される……さらに懸念される点は、金委員長は武器プログラムを放棄したいが、将軍たちを説得できておらず、彼らを制御できていない可能性があること」とも指摘しています。

金正恩は米朝会談の直前に北朝鮮軍の首脳部3人を入れ替えしています。

国防トップにあたる人民武力相は朴永植氏から努光鉄人民武力省第1次官に、軍総参謀長は、李明秀氏から李永吉前総参謀部第1副総参謀長に交代。そして、軍総政治局長に金正角氏に代わって平壌市党委員長だった金秀吉氏が就任しています。

これら3人は金正恩に対し絶対的な忠誠心があることで知られているのですけれども、先のゴードン・チャン氏は、これら北朝鮮首脳部の入れ替えは、金委員長が軍部の完全制御を出来ていないことを示唆しているものだとしています。

ただ、金正恩体制になってから北朝鮮内での軍部の地位が低下しているのは確かなようです。また人事交代も先の3人だけでなく、国防部長官格の人民武力相は年1回のペースで交代。総参謀長も同じく目まぐるしく交代させています。

全賢俊・又石大招聘教授は「金正恩は軍の幹部を随時交代して緊張させながら忠誠心を誘導している」と、軍部の掌握に腐心していると指摘しています。

もしも、金正恩が軍部を完全掌握できていないのであれば、たとえ非核化の意思があったとしても、軍部の暴走を抑えるために、核開発の継続をして見せるのは分からなくもありません。

けれども、そこはそれ北朝鮮のこと、そう見せかけて最初から核廃棄などする積りはなかったという事も十分在り得ます。やはり油断なりません。

ともあれ、6日に訪朝するとされるポンペオ国務長官が何を見て、何を約束してくるのか。近々にはそこが一番の注目ポイントであることは間違いないと思いますね。
 

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