今日はこの話題です。



韓国の文大統領の支持率が急落しています。

韓国の世論調査会社リアルメーターが7月16日から18日に掛けて1504人を対象に実施した世論調査で、文在寅大統領の支持率が先週より6.4ポイント下落して61.7%となりました。不支持率は32.3%。

これは、就任後最低支持率を記録した今年1月第4週に続いて2番目に低く、下落幅では就任後最大です。

急落の原因として、中小・零細企業が反発する最低賃金の大幅な引き上げ決定など上げられていて、職業別の下落幅では、12.2ポイント下落した自営業が最大でした。

韓国の最低賃金引き上げは、文在寅政権が打ち出している「2020年に最低賃金1万ウォン」という看板政策に基づいた判断なのですけれども、最低賃金引き上げは2年連続で、今年1月から韓国の雇用労働者の最低賃金は6470ウォンから7530ウォンに16.4%引き上げられています。

7月14日、韓国の雇用労働部の所属機関である「最低賃金委員会」は、2019年の法定最低賃金を今年よりも10.9%引き上げて8350ウォンとすることを決定したのですけれども、引き上げ凍結を求めてきた小商工人連合会は、決定に従わない「不履行」を宣言。「廃業か人員削減かを選択するしかない」と訴え、零細事業者に参加を呼びかけ、一斉休業や街頭デモなどの抗議活動を計画しています。

一方、最低賃金委員会に出席した穏健労組の韓国労働組合総連盟は15%の修正案を出したが否決され、「非常に残念だ」との立場を表明。労使対立が鮮明になっています。

雇用側からみれば、最低賃金が頭ごなしに一年に10%も15%も上がったら堪ったものではありません。人件費の増大に耐えかねた企業は、雇用自体を減らして生き残りを図るようにならざるを得ません。

2017年12月時点で、韓国政府が運営するサイトの求人数は前年同月を17%下回る結果となりました。

これは、従業員の新たな雇用に負担を感じた企業が採用をためらった結果で、小売店や外食店は無人システムを導入したり、アルバイトの採用を見送ったりしています。

韓国は大企業と中小企業、正規職と非正規職の賃金格差が大きかったという事情があった為、最低賃金の引き揚げは、低所得者層の票を集める手っ取り早い手段の一つではあったのですけれども、肝心要の雇用が減ってしまっては元も子もありません。

実際、最低賃金引き上げ政策は、思ったような効果は上げていません。コンビニでは従業員を減らし、店主が不休で深夜勤務するケースが続出。失業率も改善しておらず「弱者」への恩恵は限定的とみられています。

文政権が進めている経済政策は予算の裏付けがないまま強引に推し進めるものも多く、経済的にはかなり怪しい政策が含まれています。

予算の当てがないまま公務員の増員と子供手当拡充をうたいあげ、企業に負担を押し付ける形の賃金引上げは逆に雇用を減らしています。また原発廃止による電気コストの上昇は産業界全体にダメージを与えますし、100万円以下の借金を10年以上借り続ける人々を対象に、その借金と利息の全額を帳消しにする「徳政令」に至っては、借りた者勝ちを黙認するモラルハザード。もう無茶苦茶です。

弱者救済を前面に出し過ぎて経済全体に目を配らないとこうなるというお手本のような結果ですね。

経済評論家の上念司氏はある番組で「立憲民主党が言ってる政策を全部やってるのが韓国。立憲が政権をとるとああなる。金融を引き締め、財政も緊縮気味で再分配メイン。再分配は全体的なパイを大きくすることには繋がらないので全員が等しく貧しくなり格差が固定される。韓国が調子が悪いのは立憲みたいな政策をやってるから」とズバリ指摘していますけれども、そういうことですね。

いくらその場の人気取りで支持率を高めることが出来たとしても、結果が出なければやはり最後には叩かれることになります。

韓国の経済状況と相俟って、文大統領は早くも正念場を迎えたのかもしれませんね。
 

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