昨日の続きです。




ラオスのダム決壊による被害がラオス政府の発表以上に大きいのではないかという疑惑が上がっています。

27日、ラオス政府が明らかにした死者数は27人、行方不明者は131人なのですけれども、BBC放送は、生存住民と救助隊員たちの言葉を総合して、死者は少なくとも300人を超えると報道。

CNNもダムが決壊した影響で、国連の関係者の発言として今回の事故で被害を受けた住民は1万1777人に達するだろうと述べ、隣国カンボジアの北部でも推計25000人が避難を余儀なくされていると報じています。

カンボジアの国営メディアは、カンボジア北部ストゥントレン州で、決壊したダムの下流に位置する町や村の住民を対象に避難を促していて、決壊の影響で当該地域の水位は12メートル以上上昇したとしていて、26日午後の段階ではまだ水が引く兆候はみられないと伝えています。

現地を視察したラオスのトンルン首相は、同国にとって過去数十年で最悪の災害だとしたうえで「激流が瞬く間に村々へと流れ込み、家屋や住民を押し流した。高台に逃げられなかった人が数多くいた」と述べています。

ラオスの首相が過去数十年で最悪と述べるくらいですから、相当な被害であることは間違いありません。

下の図は決壊前と決壊後を示した衛星写真なのですけれども、決壊したサドルダムDおよびそこに繋がるダム湖の水の殆どが抜け、下流の村々を飲みこんだことが分かります。

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韓国のSK建設は事故は自然災害だと主張していますけれども、図の右上、決壊したサドルダムDの隣のHouay Ho(ホアイホ)ダム湖は水位が増しているだけで決壊していません。

このホアイホダムは1999年から操業を始めているダムで建設をしたのは韓国のDaewooとタイのLoxelyです。

ホアイホダムが無事である以上、今回のサドルダムDが決壊したのは自然災害であると結論づけるのは説得力に欠けるように思われます。

今回のダムについて、建設会社はダム完成後の50年保証と事故時の賠償を付けているそうなのですけれども、受注に当たって、争った日本側に対抗して、この保証を付けたと噂されています。

日本企業は建設現場の地盤が軟弱であることから、地盤も整備する総合ロックフィル方式を提案したそうですけれども、韓国側は表面だけロックフィルにして、中身は全部粘土にするという変な方式を採用し、日本の3分の1の予算で出来ると提案したそうです。

下の図は今回の決壊部分の写真と、日本と韓国双方のロックフィル方式の構造図なのですけれども、日本が提案した通常のロックフィル方式は、殆どが岩で中のコアに当たる部分のみに粘土を使う構造になっています。

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それに対して、韓国のそれは中身の殆どが粘土で、表面を岩で覆うだけという"ミテクレ"だけの代物です。

確かに上の写真を見ると決壊した部分の断面は表面だけ岩と思われる鼠色で、其の下は粘土であろう黄土色になっています。

ロックフィル方式はコアの粘土部分を両側から大量の岩で支える構造ですから、韓国式の構造で、十分な強度があったのか疑問が残りますね。

先にも述べたとおり、工事を担当した韓国のSK建設は、事故は自然災害だ、として賠償責任から逃れようとしていますけれども、建設業界は「一部流失だとしても、今回の事故でSK建設が100%責任を免れることは難しい……もしSK建設の過失が明らかになった場合は、天文学的な賠償をしなければならない」との見方が強いようです。

確かに決壊した部分の構造を見れば、ダム工事関係者であれば、その欠陥が分かってしまうのではないかと思いますし、ラオスのカンマニー・インティラートエネルギー・鉱業相が26日の記者会見で「基準に満たない低水準の建設が事故の原因」との見方を示しています。

アメリカの華字メディア・多維新聞は、今回の決壊事故について、施工を担当した韓国が東南アジアでの支持を失う可能性があると報じていますけれども、事故原因が明らかになるにつれて、天災ではなく、人災、それも設計そのものとSK建設の態度がクローズアップされ、問題視されてくるのではないかと思いますね。
 

コメント

 コメント一覧 (1)

    • 1. そうは仰いますけれども。
    • 2018年08月27日 07:54
    • 「ですけれども」が多過ぎる気がするのですけれども。
    • 0
      kotobukibune_bot

      kotobukibune_bo

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