今日はこの話題です。
8月13日、東京株式市場で日経平均株価は大幅に続落。前週末比440円65銭安の2万1857円43銭で取引を終え、7月11日以来、およそ1ヶ月ぶりに節目の2万2000円を割り込みました。
チャート的には、下値をサポートしていた200日移動平均を下回ったことで、7月5日の安値2万1462円を意識する展開になるとの声も出てき始めました。
筆者はたまたま、今日、いくつかの銘柄の板を見る機会があったのですけれども、強烈な売り圧に押され、寄りから窓を空けての全面安の展開。かなりキツイ下げのように見えました。
この急落は、トルコリラの急落が影響しているとの見方があります。
トルコリラは昨年9月あたりからずっと下落していたのですけれども、10日、欧州中央銀行がユーロ圏の一部の金融機関について、保有しているトルコ関連資産のリスクが大きいと懸念していると報道されたことが切っ掛けで暴落しました。
トルコで金融危機が発生した場合、トルコ向けの貸し出しが多いスペインのBBVAやイタリアのウニクレディトなど欧州の金融機関に影響が波及する可能性が高いと見られ、実際、10日には欧州の銀行株が軒並み下落。
「トルコリラ安倒産」が急増することへの警戒感が市場で高まり、円高・ユーロ安が進行。日本市場にも影響を及ぼしていると見られているようです。
トルコ人のエコノミストで為替ストラテジストのエミン・ユルマズ氏は、昨今のトルコリラ安はエルドアン大統領が引き起こしているといっても過言ではないと指摘しています。
エルドアン大統領は政策を180度変えることもしばしばあり、政権への不信感によって、トルコリラ安を招いているというのですね。
更に、ドル高もトルコリラ安の一因だと述べています。
エミン・ユルマズ氏によると、投資家の間で、新興国通貨を売り、米国債を買う動きが多く見られるようになり、その資金を作る為、それまで保有していたトルコリラ、メキシコペソ、南アフリカランドといった新興国通貨全般が売られやすくなり、その結果、需給面からトルコリラも下落せざるを得ない状況だったということのようです。
アメリカは今年、去年の2倍以上にあたる1兆3000億ドルもの国債を発行する見込みなのですけれども、FRB(連邦準備制度理事会)はバランスシート縮小に伴い、国債保有を積極的に行わなくなるとされています。いわば、その穴埋めを各国の投資家が行っている訳です。
見方を変えれば、世界中の資金がアメリカに吸い上げられているともいえる訳で、エミン・ユルマズ氏の言う通りであれば、相対的に弱い通貨は今後も売られ続ける可能性も考えておく必要があると思いますね。
日経平均も下値サポートラインを割り込み、直近安値をも割るような事になると、更に一段下げも覚悟するような展開になるかもしれません。
今は各国の経済が互いに影響し合い、世界全体の経済と繋がっている時代です。トルコリラ安が日本市場にも影響を及ぼしている。
折しも、米中貿易戦争で、中国経済も怪しくなっていることを考えると、好況な日本経済に安穏とするのは、少々危ういかもしれませんね。
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