今日はこの話題です。



10月5日、岩屋毅防衛相は韓国が11日に主催する国際観艦式への海上自衛隊の護衛艦派遣を見送るとして、韓国側に伝えたと発表しました。岩屋防衛相は記者団に対し「自衛艦旗は自衛隊法などの国内法令で掲揚が義務づけられている。国際法上も国の軍隊に所属する船舶であることを示す『外部標識』に該当する……自衛艦旗の掲揚は半世紀以上にわたって行っており、国際的な慣行として確立している」と見送りの理由を説明しています。

これについては、10月4日、自衛隊制服組トップの河野克俊統合幕僚長が定例記者会見で、「海上自衛官にとって自衛艦旗は誇りだ。降して行くことは絶対にない……自衛艦機の法律上、規則上掲揚するようになっている」と述べていましたから、それを継承した形ですね。

防衛省幹部は「韓国の世論が収まれば自衛艦を派遣するが、おそらく不可能だ。掲揚自粛は決して受け入れられないから、派遣を取りやめるしかない」とコメントしていますけれども、まぁ、当然の対応です。

ただ、岩屋防衛省は「極めて残念だ。今後とも日韓の防衛協力の推進に努めたい」とも述べ、自衛隊幹部も「韓国の主張は国際規範に反する。国内世論を気にしているのだろうが残念だ」と発言しているところを見ると、韓国が国内世論をなんとかして、旭日旗掲揚を認めるのであれば、見直してやらんでもないとも聞こえます。

今のところ、海自は12日に開かれる関連行事のシンポジウムについては海自幹部の参加を検討しているそうですから、観艦式だけに絞っている形ですし、5日午後、菅義偉官房長官は記者会見で、国際観艦式に海上自衛隊を派遣するかどうかについて「防衛省で検討中」とコメントしていますから、まだ若干の含みを残していると見ていいかもしれません。

また、自民党参院議員の佐藤正久氏は、「韓国で開催された98年も08年の国際観艦式では旭日旗を容認。その他の海自艦艇の韓国帰港でも国際法・国内法に基づき掲揚」と過去は問題視されていなかったと指摘していますけれども、韓国世論が、国際規範を理解して沈静化することがあるのなら、まだ可能性はなくもありません。

それでも、この海自艦艇派遣見送りに慌てたのが韓国海軍です。

5日、韓国海軍は艦艇派遣の見送りについて「遺憾に思う」と表明。今回の決定が「海軍の関係維持に影響を与えるべきではない……軍事交流と友好推進は続けていく」とも強調しました。

前日4日、韓国与党「共に民主党」のイ・ソクヒョン議員は、観艦式に日本が旭日旗を掲揚することを韓国が防ぐ場合、外交的な困難を生むだろうと指摘され「われわれが孤立するのではない。日本が旭日旗掲揚の方針を変えなければ外交的に孤立する」と主張。 旭日旗を掲げて観艦式に参加するのは「われわれの傷ついた国民感情に塩を塗るようなことだ。観艦式に来なくてもかまわない」と吹いていましたけれども、海軍のコメントとはズレていますから、韓国海軍は派遣見送りに相当焦っていることが窺えます。

2年前、日米韓並びにオーストラリア、シンガポール、マレーシアの各国海軍が参加した西太平洋潜水艦救難訓練「パシフィック・リーチ」では、韓国世論が海自の旭日旗を問題視し、閉幕式会場である済州島への入港を中止。南部の鎮海海軍基地での閉幕式へと変更しました。

当時の海自幹部も「韓国は一体いつまでこんなことを続けるつもりなのか。日本ばかりか、国際社会の信頼も失いかねないことに全く気付いていない」と憤ったそうですけれども、どうやら今になっても気づいていないようですね。
 

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