今日はこの話題です。



米中貿易戦争の影響で中国の超富裕層の資産価値が縮小していることが明らかになりました。

中国富豪ランキング「胡潤百富」が10日に発表したところによると、20億元(約327億円)を超える純資産を保有する中国人、または中国を拠点とする資産家の数は237人減り、1893人になったそうです。

「胡潤百富」は、今年になって、半数以上の中国人超富裕層の資産価値は横ばいか縮小していると報告。胡潤百富のルパート・フーゲワーフ会長は「米中貿易戦争と経済が減速したことを背景」だとしています。

確かに米中貿易戦争の過熱化と共に中国株は下落を続けています。

15日の上海株式市場で、上海総合指数の終値は前週末比38.8141ポイント安の2568.0984と年初来安値を更新し2014年11月以来、3年11カ月ぶりの安値を付けています。

また人民元も下落を続けています。15日の対ドルでの人民元レートは1ドル=6.92元と、心理的な節目である1ドル=7元に接近しています。

14日、中国人民銀行の易総裁はブルームバーグとの単独インタビューで、人民元について「ドル上昇を背景に、元は年間を通じて合理的な範囲内にとどまるだろう」と述べる一方で、「我々はあらゆる種類のリスクについて徹底的に考えなければならない。不慮の事態、最悪のシナリオに備える必要がある」と語っています。

その最悪のシナリオの一つとして市場が注目しているのが、為替です。

10日、アメリカのムニューシン財務長官はフィナンシャルタイムズとのインタビューで「人民元が今年顕著に落ちた。アメリカ財務省は非常に綿密にうかがっている……米中貿易交渉の一環として為替問題を議論したい」と話していますし、トランプ大統領はこれまで莫大な貿易黒字を出す中国を為替操作国に指定できると繰り返し述べています。

もし、中国がアメリカから為替操作国に指定された場合、1年間必要な是正措置をしなければアメリカ企業の投資制限、アメリカ調達市場への参入制限などの制裁を受けることになります。

中国にとっては大木な痛手であり、避けたいところですけれども、人民銀行の総裁が「最悪のシナリオに備えないといけない」と発言したということは、その危険を感じ取っているからではないかと思いますね。

関係者によると、トランプ大統領は中国を為替操作国に認定するよう、ムニューシン長官に対して公の発言に加え、内々にも圧力を加えてきたそうですから、あるいはその情報が中国に伝わっているのかもしれません。

ところが、アメリカ財務省は議会に年2回提出する為替報告書を準備する中で、中国の為替操作の証拠見つけることができず、財務相スタッフがムニューシン長官に対して、中国が人民元を操作していないと報告したことが、関係者の話で明らかになっています。

この情報がこのタイミングで出ることに何等かの意図なり工作なりがあったかどうか定かではありませんけれども、少なくともアメリカが中国を為替操作国に指定する際の牽制効果はあります。

近々に公開される為替報告書で、中国を為替操作国に認定するのかどうか。米中冷戦は止まるところを知りません。

これについて、戦略論研究で知られるエドワード・ルトワック氏は、米中対立について「長期間に及ぶことになる。対立は中国共産党政権が崩壊するまで続くだろう」と指摘。対中制裁についても、トランプ政権の発足直後、ハイテク産業は「自分たちのビジネスに干渉しないでくれという姿勢だった」のが、中国による知的財産権の侵害事案が相次いだ現在は「ワシントンに来て、助けが必要だと要請するようになっている」と述べています。

中国共産党の正体が明らかになるにつれ、アメリカの民間産業もようやく危機感を表にしだしたということです。

ただ、中国共産党政権の崩壊といっても、中国共産党が残ってしまえば、たとえ習近平主席が引き摺り降ろされることになったとしても、次の新しい"独裁皇帝"が出てくるだけです。早々簡単に中国共産党が消え去るとも思えません。

その意味では、早期に習近平体勢が終焉するというよりは、むしろゆっくりと崩壊することで、中国の国力を目一杯削ぎ落してから共産党が滅びた方が、周辺国にとってもよいのかもしれません。

習近平主席は、終身主席を可能とするよう憲法まで変えた以上、そう簡単に国家主席の席を譲るとも思えません。そのことがかえって仇となって中国の脅威を減らしていく方向に向かうかもしれませんね。
 

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