今日はこの話題です。



10月19日、欧州歴訪中の韓国の文在寅大統領はアジア・ヨーロッパ首脳会合が行われるブリュッセルを訪問し、EUのドナルド・トゥスク大統領、ユンケル委員長、そして、イギリスのメイ首相と会談しました。

文大統領は北朝鮮に対する制裁緩和を求めたようなのですけれども、EUもメイ首相も受け入れず、「対北圧力の維持」を打ち出しました。

アジア・ヨーロッパ首脳会合については、外務省のサイトで公開されていますけれども、その議長声明にも、北朝鮮について取り上げられています。

そのポイントは次のとおり。
・関連安保理決議に従い、北朝鮮に対して、核及びその他の大量破壊兵器、弾道ミサイル及び関連する計画と施設の、完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な廃棄を要求。
・外交及び安保理決議の完全な履行を通じた、包括的な問題解決を支持することにコミット。
・北朝鮮に関連する諸課題を解決するための現在の外交努力は、拉致問題を含む北朝鮮の人権・人道状況の改善にも資するべきであることを認識。
思いっきり、核廃棄を謳っています。

このアジア・ヨーロッパ首脳会合には、日本の安倍総理、韓国の文大統領、中国の李克強首相、ロシアのドミトリー・メドベージェフ首相、欧州各国の首脳らが出席していました。

当初の議長声明案では、北朝鮮に対して、「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」を求めるとともに、問題の包括的な解決に向けて、「圧力と制裁の維持」を続けるとの文言が盛り込まれていたのですけれども、会合の準備協議では、北朝鮮に対する韓国が中国とともに文言の変更を要求し、日本は維持を主張し、対立していたそうです。

最終の議長声明には、「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」の文言はあるものの、「圧力と制裁の維持」の文言は消えています。それを考えると、100%日本の主張が通った訳ではありません。

まぁ、それでも17日に行われた、日仏首脳会談では、日仏が結束して「制裁回避」を防ぐ取組を維持・強化することの重要性を確認していますし、イギリス首相府も声明で「制裁による圧力は維持すべきだ」と明記しています。

取り分け、日仏首脳会談で"日仏が結束して「制裁回避」を防ぐ取組を維持・強化する"と確認した部分は、15日の仏韓首脳会談で制裁緩和を訴えた文大統領に釘を刺すものもあります。文大統領の面子は丸つぶれですね。文大統領の成果を強いて上げるとすれば、議長声明に「圧力と制裁の維持」の文言を入れさせなかったくらいでしょう。

ただそれで、直ぐに制裁が緩和されるわけでもありません。文大統領の制裁緩和の呼び掛けは事実上失敗したと見てよいでしょうね。

文大統領の「従北」姿勢については流石に目に余ると思う国も出てきています。

15日、アメリカの前太平洋軍司令官であったハリー・ハリス駐韓米国大使は峨山政策研究院とアメリカ・ウッドロー・ウィルソンセンターが共同主催した座談会の演説で、「南北の対話が『北朝鮮の非核化』と連携し、韓国と米国の声が一致してこそ、われわれの共同目標を達成できる可能性が最も大きくなる」などと述べ、韓国に先走りするなと警告しています。

奇しくも、文大統領はアジア・ヨーロッパ首脳会合で首脳の団体記念撮影に参加できなかったというハプニングにも見舞われています。故意か偶然かは分かりませんけれども、文大統領の世界での立ち位置を象徴するような気がしてならないですね。
 

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