今日はこの話題です。



10月28日、安倍総理は来日したインドのモディ首相と山梨県山中湖を訪れ、ホテルで昼食会を開きました。

昼食会で安倍総理は、モディ首相に25~27日の中国訪問についても説明し、北朝鮮の非核化に向けて協力していく方針で一致しました。更に安倍総理はモディ首相を山梨県鳴沢村の自身の別荘に招待し、夕食会を開いています。

安倍総理が別荘に海外首脳を招くのは初めてのことで、特段の親密さをアピールしました。

中国を訪問した直後にインドのモディ首相を招いて、異例の厚遇を行う。明らかに中国に対する当てつけと牽制ですね。

安倍総理は、29日にモディ首相と首脳会談を行い、安倍首相が提唱する「自由で開かれたインド太平洋戦略」に基づく連携を確認し、自衛隊とインド軍の間で食料や燃料を融通する「物品役務相互提供協定」の早期締結など防衛協力の必要性で認識を共有。更に、高速鉄道事業や人工知能の共同研究など経済協力の拡大も申し合わせるとしています。

既に日本はアメリカ、オーストラリア、イギリス、フランスと物品役務相互提供協定を結んでいます。

アメリカとは1996年6月に締結。自衛隊と米軍との間で一方が物品や役務を要請した場合、他方は提供ができるとされる。提供の対象となる物品は食料、水、燃料、被服、部品、弾薬などで、役務は宿泊、空輸を含む輸送、通信、衛生業務、施設の利用、訓練業務、修理・整備、空港・港湾業務などです。更に1999年には周辺事態に対応する活動も対象に加えられています。

オーストラリアとは2010年に締結。こちらは、共同訓練・PKO・人道的国際救援活動・大規模災害への対処・緊急事態における自国民の輸送等を対象とし、武器・弾薬の提供は実施しないとしています。

イギリスとは2017年に締結。日英の共同訓練や国連平和維持活動、大規模災害への対応の場面での活用を想定し、食料・燃料などの物資と医療・輸送などの役務を互いに融通するとしています。

更にフランスとは2018年7月に協定署名。こちらも大規模災害や国連平和維持活動の現場、共同訓練などで物資をスムーズに融通することを想定しています。

物品役務相互提供協定は物資を相互に融通する協定ですけれども、これは平たくいえば、兵站線の確保です。つまり物品役務相互提供協定を結んだ国々とを結ぶラインでの軍事行動がより強力になる訳です。

その視点から、日本が物品役務相互提供協定を結んだ国々を見ると。日本ーアメリカーオーストラリアーインドの所謂「セキュリティダイヤモンド」構想の国と、フランス、イギリスというヨーロッパ主要国と軍事面での連携を取る事になります。

安全保障とシーレーン防衛を共にカバーする為の手です。自由で開かれたインド太平洋戦略といっても、安全が確保できなければ、ただの御題目に過ぎません。その意味では自由で開かれたインド太平洋戦略を裏で支える重要な協定だといえると思いますね。

中国の一帯一路への協力について、安倍総理は「別にこちらが前のめりということではない。一帯一路の件は、リップサービスをしているだけだ。中国にカネをやるわけでも出すわけでもない」と周囲に漏らしていますけれども、これが本当であれば、中国に協力するフリをして、その裏でがっつりと「セキュリティダイヤモンド」プラス「シーレーン防衛」を進めていることになります。

インドとの物品役務相互提供協定締結はその最後の仕上げともいうべきものです。しっかりと連携を深めていただきたいと思いますね。
 

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